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「糸満ハーレー」体験記

2013年11月18日

 

糸満ハーレーは、今から400~500年以上も前にもたらされたと言われる行事である。詳しくはこちらを見ていただきたい。

 

私は生まれも育ちも糸満市で、子供のころに育った祖父母の家が白銀堂の裏手という、生粋の糸満市民である。

 

そんな私だが、実は糸満ハーレーを最初から最後まで見たことがない。そういう人は、恐らく私だけではないと思う。

この記事を読んでいる糸満市民の皆さんいかがだろう? ずっとハーレーを観戦したことありますか?

 

さて、今回取材と称してこの糸満伝統の行事を御願(ウガン)バーレーからクンヌカセー(転覆競漕)、そして最後のアガイスーブまでじっくりと堪能できたので、「糸満ハーレー体験記」として記していく。しばらく私にお付き合い願いたい。

 

糸満ハーレーは未だ旧暦の5月4日に開催することをかたくなに守っている。

儀式はすべて村の神のためであり、それは旧暦に沿って執り行われるからなのだが、旧暦なので平日であることも多く、一般的には仕事あり、学生は学校なのだが、そこは地元の行事を大切にする土地柄で、市内の一部の小中学校が休みになる。おそらく市内の企業も休みになることが多いのではないだろうか。

 

私も学生のころは特別に休みなので非常に楽しかった思い出ばかりだ。まぁそれでもハーレーを見ていたか?というと怪しいのだが。

 

取材当日、天気は晴れ、暑い一日になりそうだ。自宅から出る際に顔や腕に日焼け止めを大量に塗って出発した。

まずは山巓毛(サンティンモー)に向かってみる。糸満ハーレーは「御願に始まり御願に終わる」という言葉があり、ここ山巓毛が最初に訪れる場所だ。

 

山巓毛

 

ただ、時間が早かったせいか、山巓毛には誰もいない。

仕方ないので、数枚の写真を撮って白銀堂に出掛けてみた。ところが白銀堂にもおばぁちゃんが一人いるだけで「本当に今日が行事の本番か?」と思える程の静けさだ。

先客のおばぁちゃんに話しを聞くと、なんでも昔から糸満に住んでいて、毎年ハーレーを見に来ているのだという。そのような話を聞くと地元人としては嬉しいかぎりである。

 

白銀堂

  

白銀堂を後にしてハーレー会場に行くと、準備に追われた人々の活気に満ちていて、さっきまでの「今日が本番か?」という不安も払拭された。

そうこうしているうちに、西村・中村・新島の船着場では着々と準備が進み、本番が刻一刻と迫ってきた。

 

スタート位置

 

私もウガンバーレーのスタート位置に陣取り、その瞬間を待つことにした。

本来なら、山巓毛からのスタート合図も見たいのだが、なにせ合図と同時に始まるので、私一人で両方にカメラを向けるわけにはいかない。ここはスタート位置の写真でご勘弁いただきたい。

 

スタート位置2

 

会場内では、ハーレー歌が流れる中、役員が乗る船を先頭に、十数隻以上もの役員船および各村のハーレー船が円を描くように周回している。スタート前の行事海上パレードだ。

 

進行船

 

そうこうするうちに、いよいよ2013年ウガンバーレーのスタートである。

漕ぎ手全員が漁師だけあって波しぶきをあげ、折り返し地点向けて駆け上がってゆく。何度かの折り返しを行ってゴールである。

 

ウガンバーレー1

 

ウガンバーレー2

 

ウガンバーレー3

 

このウガンバーレーが終わると、各村の漕ぎ手たちは成績の報告を白銀堂で行うことになっている。 

会場では職域対抗戦などが引き続き繰り広げられているのだが、やはりこの奉納を見落とすわけにはいかないので、先回りして白銀堂へと向かった。

朝訪れた際の静けさとはうって変わって、多くの人々で賑わっていて、すでに地元の「アンマー」たちがパーランクー片手にカチャーシーと盛り上がりは最高潮である。

 

カチャーシー1

 

程なくして、ウガンバーレーの報告で漕ぎ手たちが白銀堂へやってきた。

恐らくハーレー以外では滅多に開かれることはないであろう扉の前に各村の漕ぎ手たちが並び、古式に乗っ取りハーレー歌を歌い白銀堂内を回りながら報告を行う。

 

ウガンバーレー報告1

 

全ての村が報告を終えると、白銀堂入口の階段に全員腰掛けて記念撮影を行い、ウガンバーレーの報告の儀が無事終了である。

 

記念撮影

  

さて、会場へ戻ると職域ハーレーで盛り上がっている。

 

職員ハーレー

 

職員ハーレー2

 

せっかくの祭りなので小腹のすいたところで出店をチェック。

会場をまわり、一通り出店をチェックしたのだか漁協の1階にある出店で魚のカツが目に付き一つ購入。道端に腰掛けて一休みである。気になる魚のカツは期待以上のボリュームと味わいで個人的には大いに満足。

 

糸満市中央市場

 

ここで、糸満の市場内を散策に出かけてみた。

私が学生のころは、ロータリーから市場まで繋がる「新世界通り」は活気があり、特に夕方は学生が行き交う通りだったのだが、近年は通りに面する空き店舗の多さがどうしても目立ってしまう。

生まれ育った場所がこのような惨状になるのはやはりさみしい限りであるが、同じ糸満でも港の対岸にある西崎町ではファーマーズマーケットやお魚センター、道の駅などが、新しい糸満の顔として市内外から訪れるお客さんで大いに賑わっている。

 

市場2

 

ただ、そんな市場の周辺ではあるが、

最近はおしゃれなカフェがオープンしたり、若者たちが活性化しようとがんばっていろいろな試みがなされているようである。地元から率先して糸満の馴染みの顔である「糸満市場」に目を向けることが大切ではないだろうか。

市内をめぐるガイド付きのツアーも開催されており、好評を博しているようなので是非参加してみることをオススメする。新しい発見がきっとあるから。

 

市場2

   

その後、職域ハーレーや学校対抗の競舟が行われた後、もうひとつのメインイベント「クンヌカセー」(転覆競舟)が始まった。

分かりやすく説明すると、一度スタートを切ったハーレー舟が本部席前に来ると、船を一度転覆させて、再び船に乗り、舟内に溜まった海水をかき出しながら櫂を漕いで舟を進める競技である。

糸満独特の操船技術を競う競漕であり、他では見ることができない。

そのため、この競漕を目的に訪れる観客もいるほどである。いかにして転覆した舟を皆の力で起こし、水を掻き出し、舟を進めるか、チーム力と漕ぎ手全員の腕の見せどころである。

 

クンヌカセー

 

クンヌカセーで会場の盛り上がりは最高潮。

職域の決勝と門中の決勝2戦をはさんで、いよいよフィナーレ「アガイスーブ」である。 

このアガイスーブはウガンバーレーが全長850mなのに対して、なんと2,150mの距離で行われる。

最も持久力を試される競舟であり、優勝した村が称えられる競舟なので、漕ぎ手たちの士気も相当なものだ。 

号砲とともにスタート、あっという間に折り返し地点。如何にコンパクトに回るかが勝敗を左右するので、一番の勝負ポイントだろう。回ったあとは一気にスピードを上げ、そしてまた迫り来る折り返し地点。何度か繰り返しコースを3周半する。恐らく疲労もピークを過ぎたころにゴールである。

 

アガイスーブ

 

今年は11年ぶりの総合優勝を西村が決め、全ての競舟が無事に終了したのだが、私の目的はその後にある。

ウガンバーレーと同じくアガイスーブでも、糸満漁港から少し離れた場所にあるノロ殿内で神に報告の儀があるのだ。

 

ノロ殿内1

 

ノロ殿内へ着いた頃には、既に西村の漕ぎ手が室内でハーレー歌を歌い、その後、仏壇に向かって正座をして全員が手順に沿って酒を飲み干した。

儀式の手順が分からない若い漕ぎ手たちに傍らで指示を与える先輩方がいるのを見て、時代の流れを感じてしまった。

 

ノロ殿内2

 

私は西村の儀式が終わった時点でノロ殿内を後にしたのだが、その後、残りの中村、新島、も同じようにここで最後の儀式を行うそうだ。

 

ノロ殿内3

 

ただ、時間が決まっているわけではないので、夜遅くに行われることも多いという。 

以上で、私の「糸満ハーレー体験記」を締めるわけだが、地元の人間である私でさえ初めて知ったことや新しい発見があり、ましてや本日行われたほとんどの儀式が生まれ育った場所のすぐ側で行われたことに驚きがあった。

このような取材の機会がなければもしかしたら一生経験できなかったことだろう。そういう意味でも今回の取材に感謝である。 

来年も、再来年も、今後何百年にわたって行われるであろう糸満ハーレーを永遠に継承してもらいたい。

お問い合わせ

商工観光課
観光振興係
電話:098-840-8135