1904(明治37)年の大干ばつの際、当時、島尻郡長だった齋藤用之助 (佐賀県出身)は、
政府から割り当てられた救助金をそのまま人々に分配するのではなく、公共事業によって地域の雇用を創出しようと、半農半漁であった住民の生活の安定と漁業振興を図る目的で、小渡浜(現在の大度浜)の沖の珊瑚礁を開削して、港口(ンナトゥグチ)を設ける工事に着手しました。
港は1907(明治40)年12月に竣工し、住民はこれを、齋藤用之助に因(ちな)んで「用之助港」と呼びました。また、小渡浜を摩文仁村長の宮里蒲助に因んで「蒲助浜」と呼ぶようになりました。
用之助港の完成により干潮時にも船の出入港ができるようになり、後年、砂糖樽の海上輸送や漁民の避難港として利用され、地域に大きな利益をもたらしました。
「大渡の用之助港」は「珊瑚礁に囲まれた沖縄特有の土木遺産として価値が高い」として、2009年に土木学会推奨土木遺産に認定されました。
【場所】糸満市字大度243-1付近