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長野県佐久市により糸洲の壕(ごう)学習環境整備事業が行われ、同事業完了に伴い、同市主催の竣工式が1月30日(木曜日)に開かれ、長野、沖縄両県の関係者約70人が出席しました。
字伊敷にある同壕(ごう)は、第二次世界大戦時に佐久市出身の軍医である小池勇助少佐が率いた第24師団第二野戦病院の跡地です。沖縄戦末期、各地の全学徒隊に解散命令が出る中、小池少佐は、当時、同壕で看護活動をしていたふじ学徒隊25人に対し、生きて親元に帰り、戦争の悲惨さを後世に伝えるよう訓示し、壕(ごう)から送り出しました。その後、自らは自決されましたが、他の学徒隊が多くの戦死者が出すなか、小池少佐の言葉を守ったふじ学徒隊の戦死者はわずか3人にとどまり、小池少尉が命をかけて伝えたかった「戦争の悲惨さと平和の重要性、命の大切さ」を現代に語り継いできました。
同壕(ごう)は、関係者の高齢化などを理由に、鎮魂之碑から壕(ごう)入り口までの道が草木に覆われるなど、管理が困難な状況の中、同市は、観光で訪れる巡拝者や修学旅行が訪れ、実際に壕(ごう)内に足を踏み入れることで現地の雰囲気を肌で感じ、戦争の悲惨さ、命の尊さをより深く学ぶ平和学習の場とするため、費用の一部をクラウドファンディングにより補いながら、同事業を実施しました。
式典で、同市の柳田(やなぎだ)清二市長は「学習環境整備事業の完了に伴い、多くの修学旅行生を含む若い世代が沖縄戦の悲惨さを学び、次の世代に思いを伝える場となることを期待しています」とあいさつをしました。
来賓として出席した當銘真栄市長は「この度の学習環境整備事業にご尽力くださいました長野県佐久市並びに関係者の皆さまに深く感謝申し上げます。今回の整備により、佐久市と糸満市、ひいては長野県と沖縄県を結び、それぞれの地域の明るい未来へとつながる平和の架け橋となると信じています」と祝辞を述べました。
当日は、長野、沖縄の両県知事も出席し祝辞を述べるほか、関係者らは糸満市の平和ガイド井出佳代子さん案内のもと、実際に壕(ごう)内へ入り、壕(ごう)の状況や当時の様子が説明されました。
同整備事業について、詳しくは生涯学習課(Tel:098-840-8163)まで。